17話 十三ねん目
読み方を変える
一休さんは いつか 十八さいに なっていました。すると ある日、おしょうさまが 一休さんを よんで、
「しゅうけん、おまえも いつの 間にか 十八に なりましたね。」
と、しんみりと いいました。
「ええ、おかげさまで いつか 十八に なりました。おししょうさまの もとに まいりましたのは、六つの ときで ございますから、いつの まにか 十三ねん たちました。まるで ゆめの ようです。」
と、一休さんも しんみりしました。おしょうさまは、
「ついては しゅうけん、おまえに おりいって 話したいことが あるのだがね。」
「はい、なんでしょうか?」
「じつは ね、しゅうけん、わしは もう おまえに おしえる ことが、なんにも なくなったのだ。わしの もっている がくもんは、みんな のこらず おまえに おしえつくして しまったのじゃ。このうえは たれか わしより えらい かたに おまえを おたのみして、おまえに もっと もっと がくもんを ふかめて もらいたいのじゃ。」
「はい。」
「十三ねんも いっしょに いた おまえと、いまさら わかれるのは わしも つらい ことじゃが、おまえの がくもんの ためには これも いたしかた ないことじゃ。」
「はい。」
「ついては、ここに さいごんじの おしょうに てがみが かいてある。さいごんじの おしょうは てんかに かくれない がくもんの ふかい おしょうじゃ。この てがみをもって、これから すぐ さいごんじに いきなさい。さいごんじの おしょうには もう よく 話してある。」
「はい、おししょうさま、ありがとうございます。」
一休さんは その日 さっそく さいごんじに いきました。
さいごんじの おしょうさまは、あんこくじの おしょうさまの そえてがみを みて、一休さんを へやに とおすと、
「しゅうけんと いう 小ぞうは おまえか?」
と、どなりつける ように いいました。
「はい、しゅうけんと もうします。よろしく おねがい いたします。」
「おまえは 大へん けんか こうろん、とんちもんどうが すきだそうだが、ほんとか?」
「いや、おしょうさま、わたしは けんかも こうろんも すきでは ありません。」
「なに、すきでない。それじゃあ おんなみたいに よわむしか?」
「でも ありません。」
「では、けんか こうろんは すきじゃろ?」
「ほんとは すきですが、しない ことにして おります。」
さいごんじの おしょうさまは、じょうひんで きだてのやさしい、まえの あんこくじの おしょうさまとは まるで はんたいで、かみなりの ような 大ごえで がみがみいう ひとでした。一休さんを じろりと みおろして、
「おまえを でしに するまえに、一つ きいておこう。」
と、もんどうを はじめました。