23話 からすの こえ
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一休さんは 五ねんあまり、この かそうさんの もとで しゅぎょうして いました。
そのあいだに こんな ことが ありました。
いつか、一休さんを たすけてくれた あの としよりの りょうしは そのあとも 一休さんの めんどうを みていて くれましたが、ある 月あかりの うつくしい 夜の ことでした。
一休さんが、その りょうしの 舟に のせてもらって びわこの うえで ざぜんを くんで いますと、そらの どこかで からすの なきごえが しました。
「あッ!」
ざぜんを くんで いる 一休の しずかな こころの そこに、その からすの こえが しみわたって きました。
「ああ、わしは なんと いけない こころを もって いたのだろう。」
一休さんは、きゅうに こころの 目が あいたように さとりを ひらきました。
どんな さとりを ひらいたのでしょうか。
一休さんは、これまで うつくしい ころもを きて、ごちそうを たべ、ほとけの みちに はずれた おこないをしている ぼうさんたちを、おこったり けいべつ したりしていました。
すみとおった びわこの うえで、なんの こだわりもない からすの なきごえを きいた ひょうしに、一休さんは「ああ、それは いけない ことだ。」と、おもいあたったのです。
ひとの わるい ところを みて、ぶつぶつ いったり、けいべつしたり することは、いけない ことだ。そんな ことに きを かけず、じぶんさえ ほんとうの みちを あるいて おれば よい。そして、じぶんが ほんとうの みちを あるくことで、ほかの ひとが かんしんして、ひとりでに ほんとうの みちを あるくように なってくれるのが、ほんとうの ほとけの みちだ。
一休さんは そう さとったのでした。
これは、ほとけの みち だけではなく、にんげん みんなの ほんとうの みちでしょう。