一休さん

23話 からすの こえ

796字 約2分 2021年6月25日 公開

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 一休(いっきゅう)さんは 五ねんあまり、この かそうさんの もとで しゅぎょうして いました。

 そのあいだに こんな ことが ありました。

 いつか、一休(いっきゅう)さんを たすけてくれた あの としよりの りょうしは そのあとも 一休(いっきゅう)さんの めんどうを みていて くれましたが、ある (つき)あかりの うつくしい (よる)の ことでした。

 一休(いっきゅう)さんが、その りょうしの (ふね)に のせてもらって びわこの うえで ざぜんを くんで いますと、そらの どこかで からすの なきごえが しました。

「あッ!」

 ざぜんを くんで いる 一休(いっきゅう)の しずかな こころの そこに、その からすの こえが しみわたって きました。

「ああ、わしは なんと いけない こころを もって いたのだろう。」

 一休(いっきゅう)さんは、きゅうに こころの ()が あいたように さとりを ひらきました。

 どんな さとりを ひらいたのでしょうか。

 一休(いっきゅう)さんは、これまで うつくしい ころもを きて、ごちそうを たべ、ほとけの みちに はずれた おこないをしている ぼうさんたちを、おこったり けいべつ したりしていました。

 すみとおった びわこの うえで、なんの こだわりもない からすの なきごえを きいた ひょうしに、一休(いっきゅう)さんは「ああ、それは いけない ことだ。」と、おもいあたったのです。

 ひとの わるい ところを みて、ぶつぶつ いったり、けいべつしたり することは、いけない ことだ。そんな ことに きを かけず、じぶんさえ ほんとうの みちを あるいて おれば よい。そして、じぶんが ほんとうの みちを あるくことで、ほかの ひとが かんしんして、ひとりでに ほんとうの みちを あるくように なってくれるのが、ほんとうの ほとけの みちだ。

一休(いっきゅう)さんは そう さとったのでした。

 これは、ほとけの みち だけではなく、にんげん みんなの ほんとうの みちでしょう。

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