25話 たびに でる
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こうして、一休さんは かそうさんの もとで、いろいろだいじな べんきょうを しましたが、五ねん目の あるよの ことです。
あんなに きびしい おしょうさまが、その夜は にこにこして、
「一休、おまえは わしの もとにきて 五ねん あまりになるな。」
と、はなしかけました。
「はい、ゆめの ように すぎました。」
「わしは おまえに わしの がくもんの すべてを おしえた。また おまえの こころは どんなに わるい ぼうずと まじわっても、もはや けっして けがれる ことの ない、ふかい ところに たっした。もう おまえは この いおりを そつぎょうして いいぞ。」
「はい。みな おしょうさまの ごおんで ございます。」
「ついては、おまえに さしょうを あたえたい。」
さしょうと いうのは、いまの そつぎょうしょうしょと おなじものです。わしの もとで 五ねんあまり こっくべんれいして、ぶっきょうの おうぎに たっしたと いう しるしです。
かそうさまの さしょうは、どんな りっぱな てらの じゅうしょくにも なれる 高い ねうちの あるものです。
が、一休さんは いいました。
「おしょうさま、ありがとうございます。でも、わたしは ごじたい いたします。」
「いらぬか?」
おしょうさまは やさしく いいました。
「はい……。」
「一休よ。おまえは わしの あとを ついで、大とくじの じゅうしょくに なって もらわねばならぬ。それには この さしょうが いるのじゃ。」
かそうさまは 一休さんを じぶんの あとつぎにして、むらさき野の 大とくじの じゅうしょくに しようと して いたのでした。
「はい。おしょうさまの おなさけに そむくようで こころが いたみますが、わたしは てらの じゅうしょくには なりたく ございません。てらの じゅうしょくに なれば、いろいろ わずらわしい 人とも、また えらい人とも つきあわねば なりません。そう すると わたしの こころは けがれます。それよりも わたしは いっしょう ひとの みちを さぐり、ほとけの みちを たずねる きゅうどうしゃと して おくりたいと おもいます。」
かそうさまは それを きくと、
「そうか。一休、よく いった。わしも そのみちを あゆみたいと おもった くらいじゃ。一休よ、おもう みちを あるくが よい。」
と、いって、一休さんを はげまして くれました。
ある日、一休さんは おしょうさまの ゆるしを えて どこへとも しれぬ たびに でました。