15話 十五
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義雄はかかへてゐる長篇評論の結末を書かなければ、自分自身のその日、その日をささへる金にさへ困るにきまつてるのだが、落ち付いて書く場所がなかつた。
この原稿を依頼した社へでも遊びに行つて見ようかと考へたが、まだ書きあげないのを持つて遊びに行つたとて、無責任としか見られないのにきまつてゐた。
渠はふと大野を訪うて見たくなつた。そしてその細君とも話をして、いよ/\清水と手を切つたことを報告したくなつた。
で、愛宕の塔下へ訪ねて行つたが、生憎、大野は留守であつた。細君はゐるとのことだが、子供がぎやア/\云つてゐるのが聽えたので、――子供と云ふものはその聲だけでも聽くさへ義雄にはいやなので――あがる氣にはなれなかつた。
轉じて四谷へ行き、或婦人の獨身者を訪問した。この婦人は渠を冷かし半分で、
「なぜあたしを口説いて見なかつたの」と云つたことがある。
「どうせ口説いたツて、物にならうとは思へない人だから、ね」と、渠は眞面目に答へた。そして今日まで二人の交際は少しの氣まづさも無く續いて來た。渠には今更らの如く、かう云ふ交際が却つて無事で而も懷かしみもあるものであつたことが分つて來た。
かの女が某華族の夫人と共に催した或慈善音樂會に於いて、渠は一場の演説をしたこともあつた。かの女の家でかの女と婦人論を爭つて、その母親に喧嘩してゐるのではないかと思はせたこともある。かの女の紹介で、何物であるかまだかの女にも分らない或美人――實際の美人であつた――を訪ねて行つて、その生活の樣子を探つて見たこともある。かの女が玉突屋兼業のレストランをやつて見ようと云ふ出來心を起した時、無駄であつたが、いろんな助力を與へたこともある。
そんな關係で、渠が清水鳥と云ふ女に熱心になつてゐたことも、かの女は渠から聽いてよく知つてゐた。が、渠がいよ/\樺太へ出發する折は、そのお鳥を預かつて呉れないかと頼んで見た時、これは三ヶ月ほど前のことだが、
「そんなきたならしい病氣の人なんて、あたしいやです、わ」と、かの女は半ば怒つて、はね付けた。それでも渠はこの婦人には當り前の返事だと思つて、惡い氣はしなかつた。
「もう、この婦人しか無い、今の自分の心持ちを持つて行きどころは――その、いつもの忠告通り、女と手を切つたことをうち明け、叱られて、笑はれて、半ば同情の言葉を得て、二三時間だけでも、自分の落ち付きどころを借りて見よう」と、玄關の格子戸を明けたのであつたが、母親なる人が出て來て、ここも亦あての人の留守であるのを報じた。そしてこの老母が先づ旅の話を持ち出して、
「いつ、あなたはお立ちになりますか、ね?」
「もう、四五日中だと思ひます」と、義雄はわけもないやうに答へた。
人や自轉車の行きかふ間をよけながら、渠は全く途方に暮れた。
あまり好きでも無い酒を呼ぶ爲めに、肉屋やバーに這入る氣もなかつた。
「今一度お鳥の新居へ行つて見よう!」かう云ふむほん氣が確かに渠の心を占領したのは、渠が四谷見付けを這入り、麹町八丁目近くまで歩いた頃であつた。
渠がまた八丁堀へ行つた時は、もうお鳥は例の六疊敷をかたづけて、角火鉢にかけたゆき平の下を吹いてゐた。
渠は、先刻の若いかみさんが氷をかいてゐるのにちよツと挨拶して、はしごをあがつて行き半ばそのからだを現はした時、自分はこはい顏をしてゐる筈であつたが、つい、笑みを漏らした。
かの女も亦こちらを返り見て、にツこりとした。そして常にでさへ珍らしかつたほどの優しみと嬉しみとを籠めた目付きで、こちらを見つづけた。
「このざまはどうだ!」かう、平生と違はない態度で云つて、渠はかの女の大きな廂髮の上にたかつた灰を指のさきで輕く拂つてやつた。それからそのそばにあぐらをかいて、「どうだ御機嫌は?」
「知らん!」かう云つて、かの女は渠のからだを兩手で突き飛ばした。片手を後ろに突いた渠が、何とも云へなくなつて、眞面目な顏であぐらに直つたのを、かの女は前とは丸で違つた顏でにらみ付けて、
「衣物を買うて呉れたおもたら、手切れの爲めやなんて、加集に云うて――死んでお呉れ、あたいも死ぬさかい!」
「うん」と、横へ向いてはづしながら、「死ぬのは、いつでも死ねるよ。おれなどア、どうして生きて行くかが眞底からの問題だ。」
「お前だけ生きたら、ええのだろ――あたいをどうするつもりや?」
「棄てる神があれば、ね」と、渠は今度はかの女を冷やかに見て、「また拾ふ神もあり、さ。」
「神などありやアせん」と、かの女は目で渠を遠ざかるやうな色を見せた。
「ぢやア、加集をどうしたんだ、あの晩にとまつて――また、その次ぎのゆうべもだらう?」
「そんなことはない!」熱心にこちらを睨んで、訴へるやうに、「ゆうべうちで寢よとしたら、あの婆々アがあがつて來て早く立ちのいて呉れ云うた位ぢやないか? どうせ出るにきまつてゐたさかい、さう云うてやつたら――變な顏をしたけれど――人を棄てたり、人に恥ぢをかかせたりして!」情なささうにべそをかいた。
「そりやア、お前が分らないから、さ。」
「そツちが分らないのぢや――誰れが、いつまでも、めかけなどになつてゐるもんか?」
「さうして、何かい、加集の足かけなどになつたのか?」
「そんなことは無い!」かの女は怒つたやうに膝に力を入れて疊にぶつけ、顏を皺くちやにして見せた。
「その顏が、お前の見え透いたうその手だよ――もう、ちやんと、おれにやア分つてるのだから、ね。」
「‥‥」かの女は眞顏になつて目を少し落して、義雄の強みを藏する視線を避けたが、また見あげてあまえるやうに、「そんなら、何で來た? 歸つて貰ふ!」
「ふん――こんな詰らない部屋でも、ね、もう、前金を拂つたに相違ない以上はおれが借り主だらうぜ。」
「では」と、かの女は尋常な顏になつて、「人を棄てたりせんでもええぢやないか?」
「然し、ね」と義雄はわざと落ち付き拂つて、卷煙草を袂から出しながら、「お前とおれとは、もう、もとの通りにやア行かないよ。」
「どうして、さ?」かの女は、不思議さうに。
「二人の間には、第一、出齒庖丁が這入つた。」
「‥‥」
「それから、加集が這入つた。」
「そんなことは無い」と、また顏をしかめた。
ゆき平がぷう/\吹いてゐたので、かの女はその蓋を取つた。飯が煮えたのだ。
「誰れの爲めに焚けたのだか、ね――おさしつかへは御座いますまいか?」
「丁度ええとこぢやさかい」と、かの女は渠の冷かしに頓着せず、ゆき平をおろして、「何か買うて來か?」
「さうだ、ねえ――」と、義雄は手を懷ろに入れかけた。
「お金はこツちにもある――けふも、あんまり癪にさはつたさかい、あの婆々アから間代の五日分だけ取り返して來てやつた。」かう云つて、かの女は喜んでゐた。
かの女は正宗一本とかれいを一尾と買つて來て、膳ごしらへが出來た頃、加集が案内もせずあがつて來た。
「來てるのか、君」と渠は間の惡いやうな顏をして立つた。
「ああ。」義雄は、食膳代用の机に向つたまま、惡びれずに返事をした。「おれにやア、行くところも、ゐるところも無いのだ。――まア、一緒に一杯やらう――坐り給へ。」
「僕も一本あるぞ」と苦笑しながら、ポケツトから取り出したのをしほに、義雄と相對して腰をおろした。そしてからだを横にして、瓶を女の方につき出し、「お鳥さん、これもついでにつけてお呉れ。」
「‥‥」かの女はちよツとふり返つたが、取り合はなかつた。
「あれから、なア、また○○の」と、先輩の名を擧げて、「とこへ行て來たんぢや――銀行家なんて、なか/\けちんぼで、なア。」
「二千五百圓の宅地とかでかい――まア、つがう」と、義雄は加集と自分との猪口に出來た酒を注いだ。
渠はお鳥に命じて、加集の持つて來た正宗をも燗しろと云つたが、かの女はそれに手をつけようともしなかつた。
「まア、さう嫌はんで」と、加集はかの女のつんとそツぱうを向いてる横顏を見た。渠の目には、これまでに見せたこともない劍があつたと、義雄は讀んだ。
「ぢやア、おれが燗をしてやる、さ。」義雄はかう言つて、火鉢へ行つた。
渠は半ば加集に後ろを向けてゐたが、加集がじろ/\とお鳥を見て、かの女の顏色を讀まうとしてゐる樣子が、自分の近眼鏡の裏に寫つた。
その夜、加集もいろんな世間話をして、いつまでたつても歸らうとはしなかつた。
義雄はまた、このいきさつがどうなることだと、心を据ゑて、半ば傍觀氣を起してゐた。
お鳥だけはじれ/\してゐて、加集に歸れと云ふ素振りをばかり見せた。
「もう、締めますが――」下からかみさんの聲がかかつた。
「ぢやア、締めてもよう御座います」と、義雄は答へた。
お鳥はこらへ切れなくなつたと見え、
「歸つて呉れ」と、加集につけ/\云つた。
「歸るなら、歸るやうに話をつけて行く。」かう、加集は強いことを云ひ出したが、その割りに聲が顫へてゐた。見ると、渠の顏は、義雄には、如何にも恨みある悲しみを表してゐるやうであつた。
「こツちの範圍内に立ち入らせたのが惡かつたのだ」と、義雄は私かに、多少、同情の念が起つた。
「まア、一緒に寢よう、さ――僕も醉つてるから、ね。」
お鳥は物も云はないで、自分だけの褥を敷いてゐた。
義雄は下の漏れ縁をあがつて、奧の便所へ行つて、またはしごを登つて來た時、立ちあがつてゐる加集がこれも立つてゐるお鳥に突きのけられて、壁の大黒ごよみにぶつかつたところであつた。
「喧嘩なんかするな! 僕がこの場にゐる以上は、ね。」かう云つて、義雄は、一方に片よせて敷いた褥の上から、上の蒲團一枚を剥いで、加集に與へ、「仕やうがない――君はこれにくるまつて、寢て貰はう。」
「かしは餅かい?」加集は愛想らしく笑つた。
「さう、さ、ね――それでも女は女だ」と、義雄は自分の寢まきに着かへながら、
「イオリンなどはぶち毀しても、衣物はこんな下らないのでも、何かの足しになると思つて持つて來てゐらア。」
「それも」と、お鳥はもう這入つてる褥の中から、「燒いたろかおもたんぢや。」
「あの婆アさんが」と、加集も少しゆつたりした聲になつて、「火事でも出されるのを心配してたのは尤もぢや、なア。」
「ほんとに、さう、さ、ね――然しここは、また」と、義雄は今見て來た締りを思ひ出して、「どうしたのだらう、ね、下の庭に戸締りも何もしてないぜ。ただよし簀を立て擴げて、細い横木で押さへてあるだけだ。」此時はもう女と並んでた。
「そりや僕も知らなんだ、なア。」加集は心配さうに蒲團から顏を出して、「用心が惡いやないか?」
「惡くツたツて仕方が無い、さ、――君が、わざ/\こんなところを見付けてやつたのだから。」
「そんなことまで僕も氣が付きやせん、さ。」
「然し、萬事よく釣り合つてらア、ね。」義雄のこの言葉を聽いて、お鳥は無言でだが怒つて渠の横腹をきつく突いた。
義雄も默つてしまつたが、こツそりかの女の手を引き寄せ、
「どツちが好きだ」と、指さきで書くと、
「おまへ」と、かの女は書き返した。
翌朝、遲くあさ飯を一緒に喰つてしまつた頃、加集は言葉を置き/\、かう云ひ出した――
「僕は――これから――時間があつて――出るが、なア――一體、この話は――どうなるんや?」
「どうなるツて」と、義雄もむツとして、「もう、濟んだやうな物、さ。」
「まだ濟みやせんぢやないか?」加集は眉根を引ツ釣らせて、「君は僕に依頼して、僕は君とあの女との手を切る奔走をしたんや。」
「そりやア、さうだがね、今となつちやア、もう、取り消されたのだ。僕自身でこれと僕との間は、切れるなり、またくツ付くなりする、さ。」
「でも、まだ君は取り消してない。」
「ぢやア、今僕が取り消すが、君の二三日來の奔走は實にありがたかつた。」かう云つて、一つあたまを無器用に下げた。
「如何に友人間でも、君はおれを馬鹿にしてるよ――僕だツて、一日をほかのことで奔走すりや、それだけ金になるからだを、君の爲めだおもて、この二三日棒に振つてるやないか?」
「然し君はその報酬は得てゐると思ふが、どうだ?」
「さう云はれると、なほ――」加集は言葉を中止して、お鳥が二人を少し離れて後ろ向きになつてゐるのを横目に見た。
「あれは、たとひ」と、義雄はかの女を見ずに、「何も分らない無智同樣の田舍者としたところが、兎に角まだ娼婦や何かでは無い。それを――」
「さう云はれると、僕も――然し君の爲めに手を切らせる一つの手段としては!」
「いいや、そんなことは、今更ら意味もない申しわけだ。僕は、だから、何も君のこの二三日のことを責めるのぢやアない!」
「然し――」
「それとも、友人間のことを金にする氣かい?」
「‥‥」加集は暫く默つてゐたが、決心の色を見せて、「どうせ、君がそんな不都合をするなら、金にしたる!」
「よし」と、義雄も坐り直して、「いくらの口錢を出せばいいのだ? その代り、またあの女にも要求があるだらうから、ね。」
「‥‥」
「僕は豫め云つて置くが、あの女もまたこれまで通りにするか、それとも矢ツ張り手を切るか、それは君にもあの女にも受け合はれないのだ。が、あいつの處分はどツちとも僕自身がすることにきめたのだ。」
「さう云はれると、――僕も――實に――心――苦しい。」加集はその背を壁にもたせて、女と義雄とをどツちにも横目で見るやうにして、「實は、もう――僕のうちへもとまつたし、大森の砂風呂へも一緒に行たし、――」
義雄はこれを聽いて、くわツとのぼせた。想像と推斷とでは、既に分つてゐることだが、本人の口からかう當てつけられて云はれると、あたまにのぼせて、からだがひイやりしてしまつた。そして今までのぐわん張り方が馬鹿々々しくなると同時に、この女をわれからかばふのが女にも笑ひの種になつてはすまいかと思はれた。ゆうべのありさまだツて、自分がただいい氣になつてゐたに過ぎないのかも知れず、女が加集にむごく當つたのも却つて反對の意味があつて加集が馬鹿の爲めにこれを理解し得なかつたのだとも取れ出した。
「おい、ちよツとこツちを向け!」かう、義雄はお鳥に叫んだ。が、かの女は向きも返事もしなかつた。「おれが若しお前を處分するとしても、今加集が云つた事を土臺にすれば、おれの方はずツと責任が輕くなるのだ――返事をしろ、お前の口からも事實だと!」
「‥‥」かの女は矢張り無言で、少し仰向き加減にそツぱうを見てゐるらしく、然しからだは全體に顫へてゐるのが見えた。
義雄はこれを見て、あの烏山でかの女が縊死しかけた時のありさまを思ひ合はせ、如何に憎い女でも、再びあんな眞似はさせたくなかつた。
渠はどう自分の身を處していいか、ちよツと度を失つた時、加集は勝ち味な聲で、
「兎も角、僕が一時あの女を預かるのが順當ぢや!」
「預かれるなら、預かつて見ろ!」まだ實際の好意があるのをかの女にも分らせる爲めに、「君が預かるのは、どうせおもちやにする爲めだらう――?」
「うんにや――」加集は義雄のこはい目を避けて、かの女の方に向き、「僕だつて、男ぢや――君ぐらゐの世話はする!」
「これまでの僕ほどでは、もう、いかないよ――今のさし迫つた問題は、あの女を生かすか殺すかの問題だ。君が本氣で獨り者だから、少くとも、一生愛してやるか、僕が本氣な同情でかたをつけてやるか? 如何に馬鹿だツて、あいつも、もう、そこまで突き詰めてゐる樣子だから、ね。」
「そんなことを君に受け合ふ必要はない!」
「君は途中から逃げようと云ふのだらう――?」
「‥‥」加集はただぢツと、半ば横目で、義雄を見つめてゐた。
「さア、もう僕はどツちでもいい!」義雄は決心した樣子で他の兩人を見まはして、「僕はこの場合慾情は拔きだから、あの女の意向一つにまかせるが――その前に、一つ、僕がしツかりと事實の念を押して置く必要がある。――おい」と、またお鳥を呼び、「加集との關係を白状しろ!」
「‥‥」
「返事しろ!」
「‥‥」
「どうしてもしないと云ふのなら、今一つ聽くが、ね、お前は一時おれに來るつもりか、または加集に行く氣か、どツちだ?」
「‥‥」
「顫へてゐるのは、自分のしたことを後悔してゐるのかい? それとも、おれを恐ろしいのかい?」
「‥‥」
「うそを云つてたから、返事が出來ないのだらう――面倒だから、今一度だけ聽くが、ね、これで永久にお前と會はないことになるかも知れないのだぞ!」かう云つて、義雄は言葉を切り、お鳥の前をわざと荒々しく通つて、原稿の包みを手に取りあげ、もとの座に來て立つたまま、「返事が出來ないなら、返事をしない方で聽くが、ね――加集がおれに代つて、お前をおもちやにしようとするのだが、その方がよければ返事をしないがいい!」
返事が無いので、義雄は、自分のかの女に對するこれまでの待遇に對して、かの女からゆうべとけさとに全くしツぺい返しを喰はせられたものと見た。そしてまた一段とくわツとなつた。
「加集! ぢやア、君にまかせた」と云つた聲さへ、耳からでも出たやうになつて、一度期に忿懣の情が顏に燃えあがつた。
渠がからだの中心を失ひかけたほどそそくさと下り口まで行つた時、
「まア、待つて」と云ふ聲がして、自分の袂が引ツ張られたが、今や加集に語つた言葉に免じても女々しく再び坐りも出來ない氣がして、
「放せ、もう、これツ切りだい!」握られた袂をふり拂つた。さうして女が足もとにばツたり倒れた音を耳にとどめて、はしごをそと向きに急ぎ下り、下駄を引ツかけるが早いか、屋臺の後ろからかみさんが驚きの目を見張つてゐるのにちよツと間の惡い挨拶をして外に飛び出した。