文語詩稿 五十篇

18話 〔月のほのほをかたむけて〕

214字 約1分 2002年5月29日 公開

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月のほのほをかたむけて、   水杵はひとりありしかど、

搗けるはまこと喰(は)みも得ぬ、  渋きこならの実なりけり。

さらばとみちを横ぎりて、   束せし廐肥の幾十つら、

祈るがごとき月しろに、    朽ちしとぼそをうかゞひぬ。

まどろむ馬の胸にして、    おぼろに鈴は音をふるひ、

山の焼畑 石の畑、      人もはかなくうまいしき。

人なき山彙(やま)の二日路を、    夜さりはせ来し酉蔵は、

塩のうるひの茎噛みて、    ふたゝび遠く遁れけり。

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