文語詩稿 五十篇

38話 〔秘事念仏の大師匠〕〔一〕

193字 約1分 2002年5月29日 公開

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秘事念仏の大師匠、    元真斎は妻子して、

北上岸にいそしみつ、   いまぞ昼餉をしたゝむる。

卓のさまして緑なる、   小松と紅き萱の芽と、

雪げの水にさからひて、  まこと睡たき南かぜ。

むしろ帆張りて酒船の、  ふとあらはるゝまみまぢか、

をのこは三たり舷に、   こちを見おろし見すくむる。

元真斎はやるせなみ、   眼をそらす川のはて、

塩の高菜をひた噛めば、  妻子もこれにならふなり。

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