1話 一
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吾等忽ちに寒さの闇に陥らん。
夢の間なりき、強き光の夏よ、さらば。
われ既に聞いて驚く、中庭の敷石に、
薪を投込むかなしき響。
冬の凡ては――憤怒と憎悪、戦慄と恐怖や、
又強ひられし苦役はわが身の中に返り来る。
北極の地獄の日にもたとふべし。
わが心は凍りて赤き鉄の破片よ。
われ戦慄きて薪を投ぐる響をきけば、
断頭台を人築く音なき音にも増りたり。
重くして疲れざる戦士の槌の一撃に、
わが胸は崩れ倒るゝ城の観楼歟。
かゝる懶き響に揺られ、揺られて、何処にか、
いとも忙しく柩の釘を打つ如き……そは、
昨日と逝きし夏を葬る声にして、秋来ぬと云ふ怪しき此声は、
さながらに死者を葬る鐘にも似たり。