珊瑚集 仏蘭西近代抒情詩選

1話 一

282字 約1分 2021年12月3日 公開

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吾等(われら)忽(たちま)ちに寒さの闇に陥(おちい)らん。

夢の間(ま)なりき、強き光の夏よ、さらば。

われ既に聞いて驚く、中庭の敷石に、

薪(たきぎ)を投込むかなしき響(ひびき)。

冬の凡(すべ)ては――憤怒(いかり)と憎悪(にくしみ)、戦慄(おののき)と恐怖(おそれ)や、

又強(し)ひられし苦役(くえき)はわが身の中(うち)に返り来る。

北極の地獄の日にもたとふべし。

わが心は凍りて赤き鉄の破片(かけら)よ。

われ戦慄(おのの)きて薪を投ぐる響をきけば、

断頭台(くびきりだい)を人(ひと)築く音なき音にも増(まさ)りたり。

重くして疲れざる戦士の槌(つち)の一撃に、

わが胸は崩れ倒るゝ城の観楼歟(ものみか)。

かゝる懶(ものう)き響に揺られ、揺られて、何処(いずこ)にか、

いとも忙(せは)しく柩(ひつぎ)の釘を打つ如(ごと)き……そは、

昨日(きのう)と逝きし夏を葬る声にして、秋来ぬと云ふ怪しき此声(このこえ)は、

さながらに死者を葬る鐘にも似たり。

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