藪の中

4話 檢非違使に問はれたる媼の物語

445字 約1分 2012年3月25日 公開

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 はい、あの死骸(しがい)手前(てまへ)(むすめ)が、片附(かたづ)いた(をとこ)でございます。が、(みやこ)のものではございません。若狹(わかさ)國府(こくふ)(さむらひ)でございます。()金澤(かなざは)武弘(たけひろ)(とし)は二十六(さい)でございました。いえ、(やさ)しい氣立(きだて)でございますから、遺恨(ゐこん)なぞ()ける(はず)はございません。

 (むすめ)でございますか? (むすめ)()眞砂(まさご)(とし)は十九(さい)でございます。これは(をとこ)にも(おと)らぬ(くらゐ)勝氣(かちき)(をんな)でございますが、まだ一()武弘(たけひろ)(ほか)には、(をとこ)()つた(こと)はございません。(かほ)(いろ)淺黒(あさぐろ)い、(ひだり)眼尻(めじり)黒子(ほくろ)のある、(ちひ)さい瓜實顏(うりざねがほ)でございます。

 武弘(たけひろ)昨日(きのふ)(むすめ)と一しよに、若狹(わかさ)()つたのでございますが、こんな(こと)になりますとは、(なん)()因果(いんぐわ)でございませう。しかし(むすめ)はどうなりましたやら、(むこ)(こと)はあきらめましても、これだけは心配(しんぱい)でなりません。どうかこの(うば)が一(しやう)のお(ねが)ひでございますから、たとひ草木(くさき)()けましても、(むすめ)行方(ゆくへ)をお(たづ)(くだ)さいまし。(なん)(いた)(にく)いのは、その多襄丸(たじやうまる)とか(なん)とか(まを)す、盜人(ぬすびと)のやつでございます。(むこ)ばかりか、(むすめ)までも、………((あと)()()りて言葉(ことば)なし。)

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