ノベリズ
可愛い山
234字 約1分 2016年3月17日 公開
文壇の現状では、あんな物は許されまいが、昔ある文士が十何枚かの原稿を依頼され、机に向いはしたものの何も書くことが無い。締切は迫っているし、これを書かねば米櫃は空のままでいなくてはならぬ。何とかしなくてはならぬと困っていると、遠くで工場の汽笛が鳴ったり、天井で鼠が騒いだり、そんなことを、べんべんだらだら書いて雑誌に発表したのを読んだ覚えがある。あれ、或いは写生文とでもいう性質のものだったかも知れぬが、今度の『山へ』にも、追々と本が出来て行く過程が書きしるしてある。
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