おばけの正体

119話 おばけの正体 第一一九項 白狐、蚕児を盗む

373字 約1分 2016年6月5日 公開

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 埼玉県および群馬県にては、もっぱら(きつね)蚕児(かいこ)を盗むと伝えている。その狐は一種異なりたる獣にして、通常オサキというが、信州にては白狐または管狐(くだぎつね)と名づけておく。その形、狐に似て色白く、尾は裂けていると申す。つまり四国の犬神、出雲(いずも)人狐(にんこ)因幡(いなば)のトウビョウと同一の迷信である。聞くところによるに、一夜のうちに蚕児がなくなっていることがある。そのときには、オサキが盗んだと申している。ある人の実験談を聞くに、己の家にて夜中蚕児のうせたことがあったから、その翌日、室内を隅から隅まで探ってみたれば、(ねずみ)が驚き走って逃げ出した。それゆえに、鼠の所業に相違ないという話をした。また、ほかの家にて蚕児を盗まれたとの届け出に対し、警官が出張して検閲せしときに、そのうせたる場所に鼠(くそ)の残れるを発見したことも聞いている。よって、その所業は狐にあらずして鼠であろうと思う。

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