おばけの正体

5話 おばけの正体 第五項 夜中の大怪物

331字 約1分 2016年6月5日 公開

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 自分の実験談のほかに他人の話を紹介したいと思う。余が先年、ある学校に寄宿せしに、同窓の一人土肥某が、夜十二時過ぎ室を出でて便所に行く途中、廊下のそばに大怪物の無言にて立ちいるを見た。なにぶん暗黒にして、その状態をつまびらかに認むることできず怪しんで、これに向かい「(なんじ)、なにものか」と問いかけたるも、一言の答えがない。さりとて、逃げ去らんとする様子もない。よって大いに志を決し、これと勇ましく格闘する覚悟にて、あらん限りの腕力をふるい、大喝叱咤(だいかつしった)してその怪物に取り掛かり、一突きつき飛ばしたれば、ガサンと音がしてすぐたおれた。よく見れば鬼にもあらず賊にもあらずして、炭俵の二俵相重なり、廊下の一隅に高くなっていたことが分かり、図らずも自ら吹き出したという話がある。

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