おばけの正体

51話 おばけの正体 第五一項 跛者の偽造

333字 約1分 2016年6月5日 公開

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 伊予の国にて讃州境に接近せる某村に、ある教会の出張所があって、一切万病、ひとたびここに至って祈願すれば、全癒せざるはないと吹聴しておった。たまたま門前に一人の跛者があって、毎日匍匐(ほふく)して参詣(さんけい)し、「ドウゾ神様、この足をなおして下され」と一心をこめて祈願している。ある日、跛者の参詣の途中、馬が逃げ来たって、当人をけたおさんとしたれば、跛者たちまち立ち上がって走り出した。これを巡査が認めて糾問せしに、当人自白して偽りの跛者なることを告げ、かつ、「かく跛者を装いしはほかではない。教会の方と密約して、祈願の力によって全癒せる証拠を人に示さんためである」と打ち明けたる由。その事実のいかんは自ら探知せしにあらざれども、余が四国巡遊中に聞き込みたるままを紹介したまでである。

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