96話 おばけの正体 第九六項 二十六夜待ちの説明
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俗に二十六夜待ちと称して、陰暦七月二十六日夜、月の出ずるに三体同時に上ると申し、これを三尊の来迎と名づけ、ものずきの人はわざわざ海上へ舟を浮かべて拝みに出ずるが、一個の月が三体に見ゆるとは実に不思議である。余は数十年前、伊豆熱海客中試みしことあるも、雲のために妨げられて実視することはできなかった。しかし友人の話を聞くに、二十六夜ごろは月の形が弓のごとくになり、しかもその両端が上へ向かい、あたかも角の立ちたるがごとき形を現している。その初めて海面に出ずるときには、角の両端まず見え、両体並び立つがごとくに感ぜらるるが、瞬間にて両体合して一体となる。そこで、最初の両体とつぎの一体とを合算して、三体同時に上ると伝えたるのであるとのことだ。されば、これまた少しも不思議ではない。