足柄の山水

3話 三 白木綿瀑

533字 約1分 2020年6月10日 公開

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『日本名勝地誌』に據れば、足柄上郡には、この洒水瀑を始めとし、大瀑頗る多し。曰く、白木綿(しらゆふ)の瀑、二段になりて、上が高さ二十四丈、下が十二丈、幅各三間。曰く、河西の瀑、高さ二十四丈、幅二間。曰く、大瀧、高さ二十四丈。下の瀧、高さ三十六丈、幅三間四尺。曰く、棚澤瀑、高さ三十丈、幅二間。曰く、本瀧、高さ十八丈、幅三間三尺。曰く、尼瀧、高さ四十八丈、幅七間三尺、郡中第一の大瀧也。いづれも、みな、酒匂川の支流なる河内川の流域にあり。瀬戸、嵐、湯觸、大藏野、宮原の諸村を經て、河内川の左岸を上る。山市場にいたりて、向ひの山に一條の飛流を見る。これ河西の瀧也。神繩村にいたりけるに、山中にも似ず、宿屋二つあり。三村屋といふに投ず。白木綿の瀧の事問へば、老婦、向ひの家にかけつけ、校長さんが案内せむと云へりといふ。やがて校長來たる。山崎權之助といふ。温厚なる君子人也。その家も立派なる構へ也。まことに、案内には物體なき人柄、謹んで其好意を謝して共に行く。四五町あとへもどり、左折して行けば、飛瀑かゝる。高さ三四間かと覺ゆ。これ白木綿瀧の下の瀧也。上の瀧は見えず。後へもどりてゆくに、路きはまる。上の瀧の上部より中部へかけて見らるれど、下の方は見えず、洒水瀧と似たりよつたりの瀑也。

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