4話 地球をまもる日がきます
読み方を変える
『火星兵団』に書いてあることは、小説だから、あれはみんなでたらめだと思っている方が、あるかもしれません。しかし、それは大まちがいです。私は、この小説にあるようなことが、やがていつかは、必ず起るであろうと、かたく信じて書出したのです。ですから、これからの皆さんは、用心してください。そして勉強もしてくださいと、この小説によって私は皆さんに警告をしているつもりです。
火星に生物がすんでいるなんて、そんなことは嘘だよ――という方があるでしょう。今日の研究では、火星に生物がすんでいるという説と、その反対に、すんでいないという説と二つあります。どっちが本当か、それはもっと研究がすすまないと分りません。
しかし『火星兵団』では、火星に生物がすんでいるとしました。私の考えでは、実は、この広い宇宙には、地球以外の星に、人間と同じか、或はもっとりっぱな頭脳をもった生物がすんでいるはずだ、そういう者から、地球が攻撃をうける日があるだろうということを警戒して、科学を勉強してください――ということを、理解していただき、そして悟っていただきたかったのです。そして便利上、皆さんおなじみの火星に、人がすんでいるとしたのです。
プラネタリウムを御らんになった方や、天文学の本をおよみになった方、そうでなくても、深夜何万といううつくしい星のちらばった空を見上げた方ならば、この大宇宙の広大をご存じでしょう。あの星の一つ一つは、丁度わが太陽と同じような恒星で、そのまわりには、地球や火星のような遊星がいくつも廻っていることでしょう。その数は、何万いや何億とあることでしょう。その数多い星の中には、丁度わが地球と同じように、気候もよくて、生物がいる星が交っているはずです。われわれ人類は、はじめて祖先が出来てから、ようやく二十五万年しかたっていませんが、この大宇宙には、もっと大昔からすんでいる生物もあることでしょうし、それが、文化の力も、われわれ人類よりもずっと発達しているとしたら、彼等は、いつ地球へ向けて、手をさしのべてくるかもしれません。
嘉永年間、浦賀へアメリカの黒船が来たとき、日本人はおどろきましたように、大宇宙の黒船は、いつ地球へ、とつぜん姿をあらわすかもしれない状態にあるのです。そのときのおどろきを考えてみてください。しかもそのとき、われわれは決して負けてはならないのです。人智をみがくために、科学力をいやが上にもすぐれたものにするために、人類の中でも、特にすぐれた素質をもつわれわれ日本民族は、他の民族よりも進んで勉強し、地球全体の中から選ばれた第一線民族として、宇宙から来る外敵に対して、いさましく立上らねばならないのです。われわれの科学研究の目標は、これほど遠くに置くのが本当だと思います。