或る晩、私は倶楽部でたったひとりテーブルに肘を突いたままひどくふさぎ込んでいる佐藤春夫の横顔を見た。そこで私は彼に近づいて、晩春のこんな美しい夜をどうしてそんな顔つきをしているんだと尋ねた時に、彼は少しばかり風変りな話を私に聞かせた―― ……その停留場に私は立っていた。つい一週間…
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初出 — 「君と僕」1923(大正12)年
底本: たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】(平凡社ライブラリー、平凡社)
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