四つの都

12話 四つの都 一二 浴室の中。

295字 約1分 2013年7月30日 公開

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庄平と庄造が湯槽に浸っている。

庄平「背中流しましょうか」

庄造「いや、それには及ばん、将棋には勝たせて貰い、背中まで流して貰っては、些か恐縮だ」

庄平(だしぬけに)「うちの財産どれ位あります?」

庄造「お前は戦争に行ってから、単刀直入にものが言えるようになったな、以前は下を向いてぼそぼそ言うばかりだったが」

庄平「そうですか」

水道の栓に口をつけて、水をふくみ、うがいする。

庄造「お前の狸算用よりは尠いかも知れんぞ」

庄平「はあ……?」

庄造「変な顔をするな。然し、わたしが永年教師勤めをして、その俸給で食って来たから、親父から受けついだ分は減らしてないようだ」

庄平「それを今そっくり僕に下さいますか」

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