48話 四つの都 四八 道。
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夕陽丘の例の寂しい道を、初枝と清子が歩いている。雨上りの感じ。
初枝「南方へいらっしゃる日は決まりまして……?」
清子「間もなく、発令があると思うんだけど……初枝さんのお見合い、明日でしょう?」
初枝「あら、どうして御存知?」
清子「副校長先生に伺ったの……どんな方でしょう、きっと良い方だと思うわ。あなたもその方を気に入るわよ」
初枝「そうかしら」
清子「自信がないのね。当てゝ見ましょうか、その方……軍人さん?」
初枝「あら」
清子「当った? ……中尉さんじゃない?」
初枝「まあ」
清子「また当った?」
初枝「千里眼みたい」
清子「じゃ、もう一つ言うわ、もう当らないと思うけど……軍医さん?」
初枝「あっ」(驚く)
清子「あら、当った?」
清子、ふと考えこむ。
その寂しい横顔、くずれた塀に「へのへのもへの」その横に「ベイエイゲキメツ」と書いてある。
初枝「どうして、こんなにピッタリ当るのかしら?」
清子(狼狽して)「いゝえ、出任せに言ってみたゞけよ、偶然よ」
初枝「そうね、偶然ってあるものね、私が今日その軍医さんを見たというのもやっぱり偶然だったのだわ」
清子「あら、何処で……? 学校で……? あ、じゃ、その方……」
清子、ショックをうける。
初枝「あら、どうかなさったの?」
二人暫らく無言。
この時、子供達が向うから来て、挨拶する。
子供達「先生、さよなら……」
清子、初枝「はい、さよなら」
瞬間、二人の顔は明るさを取り戻す。
清子「あなたならきっとあの方の気に入るわ。自信を持つのよ」