ノベリズ
女中
124字 約1分 2022年5月16日 公開
台所は暗くものの焦げる匂ひがした。
前掛ばかり白い婦(をんな)のひとは、
一日たわしのやうに濡(ぬ)れて汚なく、
一日叱られながら働き疲れ、
若さを洗濯板(あらひいた)のやうに減らすのであつた。
夕暮いつも露路へ滲(にじ)んでくる、
人脂を炙(あぶ)るやうな重いものは、
その人の生(いのち)が乾いてゆく匂ひであつた。
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