私本太平記 03 みなかみ帖
古市の朝は、舟の櫓音やら車の音で明けはじめる。 ほどなく、散所民のわめき声だの、赤子の泣き声。そして、市の騒音も陽と共に高くなり、やがて型どおりな毎日の生態と砂塵が附近一帯をたち籠めてくる。 「まだ帰らぬの」 「……帰りませんなあ」 出屋敷の板かべの一間から、日野俊基は、外ばかり…
これは青空文庫の作品です。著作権の切れた作品を、 読みやすさを確かめるために置いています。 図書カードを見る
書いて、読む
古市の朝は、舟の櫓音やら車の音で明けはじめる。 ほどなく、散所民のわめき声だの、赤子の泣き声。そして、市の騒音も陽と共に高くなり、やがて型どおりな毎日の生態と砂塵が附近一帯をたち籠めてくる。 「まだ帰らぬの」 「……帰りませんなあ」 出屋敷の板かべの一間から、日野俊基は、外ばかり…
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