夜間返却口

借りた覚えのない本が、毎晩返ってくる。

霧原 しずく 完結 全5話 4,942字 約10分 2026年9月2日 更新

市立図書館の夜間返却口に、貸出の記録がない本が返され続ける。 蔵書印はこの図書館のもの。けれど目録には無い。 司書の遠野ひなたは、本に挟まれた紙片の字を辿っていく。

市立図書館の夜間返却口は、正面玄関の右手、植込みの陰にある。 金属の蓋を押し上げて本を落とすと、内側の受箱に積み重なる。翌朝、いちばん早く来た者がそれを取り出して、カウンターの奥の台に並べる。この二か月、その役目はずっと私だった。 朝の七時半。鍵を開け、灯りを点け、返却口の受箱を…
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