偸盗

芥川 竜之介 完結 全7話 4.9万字 約1時間38分 1998年10月4日 更新

一 「おばば、猪熊のおばば。」 朱雀綾小路の辻で、じみな紺の水干に揉烏帽子をかけた、二十ばかりの、醜い、片目の侍が、平骨の扇を上げて、通りかかりの老婆を呼びとめた。―― むし暑く夏霞のたなびいた空が、息をひそめたように、家々の上をおおいかぶさった、七月のある日ざかりである。男の足…
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初出 — 「中央公論」1917(大正6)年4、7月

底本: 羅生門・鼻・芋粥・偸盗(岩波文庫、岩波書店) ※青空文庫の公有作品です。入力・校正は青空文庫の方々によるものです。

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